暫定龍吟録

反便利、反インターネット的 This blog has not been updated since 2017

タグ "スポーツ" の付いた記事

オリンピックとTwitter

 オリンピックにはさほど関心がないのだが、今日の開会式の雰囲気を少しでも味はつてみようと、Twitterで、Twitterが本人確認しているバンクーバー五輪の選手リスト@verified/olympiansの更新を見てゐた。

 見てゐて思つたのは、ツイートのほとんどが英語であること。ITmedia Newsによれば、開会式でTwitterをリアルタイムに更新してゐたのは、米国とカナダの選手が中心であるとのこと。日本の選手による日本語のツイートが一つもなかつたのは、やゝ意外だつた。日本は世界的に見ても、Twitterユーザーの多い国だからだ。

 お隣の韓国では、日本でも知名度の高い女子フィギュアスケートのキム・ヨナ選手がTwitterを利用してゐることが有名だが、「Yuna Kim(@yunaaaa)」(←注:本物の本人のアカウントか確認をとつてゐません)を見るかぎり、開会式の時には何もつぶやかなかつたやうだ。
 フィギュアスケートで金メダルを取つたら、「優勝なう」とか韓国語でつぶやくのだらうか。「表彰台なう」はさすがに無理だと思ふが。表彰台に上がり国旗が掲揚され国歌が流れてゐるときにモバイル端末を弄つてゐたら不謹慎だ。

 かうして各国のさまざまな選手がTwitterでツイートすることにより、オリンピックをよりリアルタイムに感じ取ることができるが、でもリアルタイム性といふことで言ふなら、テレビの生中継の方がよつぽどリアルタイム性は高い。
 テレビカメラがあまり入れない選手村の様子などをツイートしてくれれば、それはTwitterの価値といふことになるかもしれない。
スポンサーサイト



箱根駅伝「山上り偏重」は見直すべきかも

 1月2日、3日に今年も箱根駅伝が行われ、東洋大学の2連覇で幕を閉じた。
 箱根駅伝の5区は2006年に2.5キロ距離が伸びて、山上りでたゞでさへきつい区間なのに最長区間となつたことでさらにレース全体における重要度が格段に増した。5区を制する大学が大会を制すると言つても過言ではないほどになつた。
 これを受けて、ヤフーで「箱根駅伝「山上り偏重」を感じる?」といふアンケートが行はれ、私が見た時点で、実に5万人以上もの人が投票してゐる大アンケートになつてゐる。



 私が見た時点では、「偏重を感じない」が約7割、「偏重を感じる」が約3割で、「偏重を感じない」といふ人のはうが多くなつてゐる。
 「偏重を感じない」といふ人のコメント欄を読むと、「東洋は柏原君ひとりの力で勝つたわけではない。みんなの力で優勝を勝ち取つたのだ。条件はどの大学もみな同じ。東洋が優勝した後で、区間距離変更のルール改正議論が持上がつてくるのはをかしい。早稲田など有力校の関係者の陰謀を感じる」といつた類のコメントが多い。
 たしかに今回早稲田が優勝してゐれば、山上り偏重見直し論などは起こらなかつただらう。東洋のやうなマイナーで地味な学校が2年連続で優勝してしまつたから慌てて山上り偏重論が出てきたのだ。これでは世間の人々の口から「有力校関係者陰謀論」が出てくるのもしかたない、といつたところだらう。

 だが、ちよつと待つてほしい。よく考へてもらひたい。東洋は柏原君が卒業した後はどうなるのだらうか。
 東洋はずつと昔から箱根路を走つてゐる常連校だが、その長い歴史上、今までほとんどスーパールーキーとか大エースと呼ばれるやうなスター選手は一人も出てこなかつた。柏原君は東洋大学史上初めて入つて来たスーパールーキーだつたのだ。その逆が早稲田で、早稲田は長い箱根の歴史上、実に何人ものスター選手を輩出してきた。毎年スター選手に事欠かないと言つてもいいほどだ。
 今の学生スポーツ界では、当然のことながら高校時代の優秀な選手はいろいろな大学からスカウトの声がかゝる。もし、今回出場の20大学から「ぜひうちに来ないか」と声をかけられたら、優秀なその高校生はどこの大学を選ぶであらうか。知名度の低いマイナーな大学よりも早稲田のやうなネームバリューとブランド力のある大学に行きたがるのではないか。特に早稲田や東海などはスポーツで優秀な高校生を優先的に入学させるシステムを整へてゐる。かうして早稲田のやうな大学には実力のあるスター選手が毎年のやうに集まる。地味でブランド力のない大学には集まらない。

 つまり、今の「5区偏重」の区間割りは、実は早稲田のやうなスター選手を抱へやすい大学にとつてこそ有利なシステムなのだ。
 さういふ意味で、私は「山上り偏重を感じる」と答へる。高校駅伝などと違つて、全区間の距離が均一であるところが箱根駅伝の魅力だと思つてゐる。それにはスター選手がゐない大学にも総合力で勝つてほしいといふ願ひがこもつてゐる。

 東洋と似た校風の大学がある。専修大学だ。箱根に66回も出場してゐる伝統校であり常連校だ。だが、はつきり言つて過去に目立つたことはほとんどない。優勝もずつと昔に一回だけしかしたことがない。校風が地味でブランド力がないからスター選手が入学してこない。おかげでテレビでも取り上げられない。テレビで映らないからますます存在感が薄くなる。それでも、66回も出場できてゐるのは地力がある証拠だらう。
 かういふ、派手さもなくて目立たないけれども、地力と総合力がある、そんな大学にもつと活躍してもらひたい。スター選手を擁する派手な大学だけが活躍する駅伝はつまらない。

 そんな思ひからも、やはり現行の山上り偏重の区間割りは見直したはうがよいのではないかと思ふ、のだが。
 (ちなみに個人的には柏原君の活躍には喝采を送つてゐる。また、早稲田を特に目の敵のやうに思つてゐるわけでもない)

ミズノとスピードの知られざる皮肉な関係

 6月9日の記事でスピード社の水着のことについて書いた。

 日本の競泳選手が国内のメーカーの水着を着なければいけないのか、英国スピード社の水着を着てもよいのか、その判断が注目されてゐたが、一昨日6月10日に、日本水泳連盟が、日本の選手は自由に水着を選んでよい、といふ決定を出した。

 こゝまでの経緯は、皆さん、新聞やニュースなどでご存知だと思ふ。
 だが、この話にはちよつと皮肉な続きの話があるのだ。

 ミズノは、国内大手水着メーカーとして、今まで選手たちを金銭面を含めあらゆる形で援助してきたわけだが、今回の件で、突然、五輪で自社の水着を着てもらへなくなる可能性が出てきた。今回のスピード社の件では、一番打撃を受けた会社だらう。

 ところが、このミズノ、実は、スピード社とは1965年から長年にわたり、日本における「SPEEDO」ブランドの製造・販売のライセンス契約を結んでゐたのだ。
 ずーつと、長年契約を結んでゐたのに、2006年にミズノが創業100周年を迎へたのを機に「自社ブランドによる世界戦略を強化する」といふ方針に切り替へ、2007年5月末をもつて契約を終了したのだつた。
 そしたら、40年以上もの長い契約期間が終はつた途端に、スピード社が新水着を開発、世界記録を連発、といふ今回の事態となつてしまつた。

 さらに、新たにスピード社と契約を結び「SPEEDO」ブランドの日本窓口となつてゐるゴールドウイン社の株が最近、上がつてゐるといふ話まである。

 なんたる皮肉。ミズノの社員は、このあまりに皮肉な話に皆、臍を噛む気持ちなのではなからうか。
 つまり、ミズノは、今までさんざん敵のブランド戦略を手助けしてきた上に、今回のやうにそのブランドが俄然、世界中の注目を浴びるやうになつたら、今度はそのブランド名を名乗ることさへできないのだ。それどころか、今まで営々と育ててきた「SPEEDO」ブランドは、北京五輪といふ晴れの舞台において、「ミズノ」ブランドの前に強力なライバルとして立ちふさがることになつてしまつた。
 まさに「飼ひ犬に手を噛まれる」気持ちだらうか。

 結果が大きくモノを言ふ世界だからしかたないのかもしれないが、皮肉と言へば皮肉な話である。

スピード社水着で新記録続出のもう2つの理由

 水泳界において、英国スピード(SPEEDO)社の新水着「レーザー・レーサー(LR)」を着た選手が次々と世界記録を更新して話題となつてゐる。
 日本でも、6月のジャパンオープンでスピード社の水着を着た選手たちが15個の日本新記録を出し話題となつた。平泳ぎの北島康介選手はこの水着を着て世界新記録まで出した。

 こゝまで好記録が続出したことで、日本水泳陣が今度の北京五輪で、はたしてスピード社の水着を着てもよいのか、それとも契約してゐる国内の水着メーカー(ミズノ・アシックス・デサント)の水着を着なければいけないのか、といふ問題が浮上してゐる。

 ところで、なぜ、こゝまで新記録が続出したのだらうか。

 もちろん、スピード社が開発したこのLRといふ新水着の性能がすばらしい、といふのが一番の理由だと思ふ。聞くところによれば、LRは、

・超音波でつなぎ合はせてゐるので縫ひ目がない
・強い締め付けで水の抵抗を小さくする
・水をよくはじく

といつた、特徴があるといふ。

 たしかに、このすぐれた性能こそ、新記録続出の最大の理由であらう。

 だが私は、今回のジャパンオープンで、日本人選手が新記録を続出させた理由は、あと二つぐらゐあるのではないかと思つてゐる。
 その二つの理由とは、

1.プラシーボ効果
 一つ目は、プラシーボ効果である。プラシーボ効果とは、何の生理作用もない偽の薬を「これはよく効く薬だ」といつて医者から渡された患者が、その薬を飲んで本当に病気が良くなつてしまふといふもの。つまり、実際の性能以上に自己暗示が強く作用する場合だ。
 今回の大会でも、スピード社の水着を着た日本人選手たちに、ある程度、この種の暗示があつたと思はれる。泳ぐ前からすでに、世界記録が続出してゐる「魔法の水着」といふ触れ込みつきだ。これを着たら速く泳げさうな気がする、といふ気持ちが選手の泳ぎに前向きに作用したと考へられる。

2.研究室効果
 二つ目の理由は、研究室効果だ。「研究室効果」といふ言葉はなくて、これは私が勝手に名付けたものだ。
 ノーベル賞、特に自然科学系のノーベル賞は、不思議なことに米国の大学の研究室からばかり出る。これはなぜなのか、以前、考へたことがある。
 あるノーベル賞科学者が、「米国の大学にゐると、同じ研究室の先輩や同僚がノーベル賞を受賞してゐるし、あるいは同じ大学内から多数のノーベル賞が出てゐるので、自分がノーベル賞を取つてもをかしくないんぢやないか、といふ気がしてくる」と語つてゐるのを聞いたことがある。
 つまり、日本の大学にゐる研究者は、自分がノーベル賞を取れるわけがないと思つて研究してゐるが、米国の大学の研究者は初めから自分がノーベル賞を取れるかもしれないと思つて研究に取り組んでゐる。自然とノーベル賞の方に研究内容も寄り添つて行くのだらう。
 これを私は研究室効果と呼んでゐる。
 これと同じことが今回の大会でも起きたと私は思つてゐる。

みんながぽんぽんと日本記録を出すのを見て「私も絶対に出そう」と思つた。

 女子背泳ぎで日本新記録を出した中村礼子選手の言葉だ。
 周りの皆が好記録を連発してゐると、「それが普通」といふ空気が生まれるのだと思ふ。さうした空気に「釣られて」記録を出すといふことがあると思ふ。

 新記録続出の背景に、この二つの理由があつたであらうと私は考へてゐる。
 ともかく、何効果であれ、良い方に作用するならそれは良いわけで、日本人選手がこのまゝの良い状態で五輪で活躍してくれるなら、それは喜ばしいことだ。