暫定龍吟録

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兎と狗の違い 〜マイナンバーカードの眼目〜

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 今まで何回もこのブログで、マイナンバーについて書いて来たが、やはりまだまだ多くの人が兎と狗の違いを解っていない、と感じる。

 図書館でマイナンバーカードが使われるようになるとか、商店街でポイントが貯まるようになるとか、そのようなニュースが流れる度に、マイナンバーカード批判の声をたくさん聞く。批判は結構なことだが、それらの批判の多くがあまりにも的外れな批判ばかりである。

 さすがに「まったく関係ない」とまでは言わないけれども、しかし狗は、その大部分において兎とは関係がない。にもかかわらず、多くの人が兎と狗をごっちゃにしてしまっているのは、この二匹の名前が似ているからかもしれない。兎の名前は「マイナ」、狗の名前は「マイキー」、名前が似てるから人々はこの二匹を混同して語る。しかし狗が持ってる鍵は兎の耳とはほとんど関係がないのである。

 マイナンバーカードに反対し批判する人たちは、もしかしたら将来的に「狡兎死して走狗煮らる」ならぬ「狡兎“活きて”走狗煮らる」事態が来ることを予想して批判しているのかもしれない。つまり、狗が兎の“活躍”に貢献する、と。だから「兎に反対の私たちは、狗を持ちたくないんです」と。

 そこまで考えて批判しているなら、それはそれで聞く耳は持つけれども、しかし、狗は兎のために走るというよりは、自らの持つ価値のために走る、という側面が大きいことを知らなければならない。

 この狗はただの「兎のための」狗ではない。物凄く大きなポテンシャルを秘めた狗である。

 マイナンバー制度にしろマイナンバーカードにしろ、私は賛成を強制するわけではない。賛成意見も反対意見もあっていい。だが「私は兎が嫌いだから狗も嫌いです」と言うのはおかしい。

 マイナンバーカードにはたしかに番号が書いてある。しかしこれは言わば「おまけ」みたいなものである。顔写真も付いているから身分証明書にもなります、というのも「おまけ」の機能である。

「身分証明書として“も”使えます」
「番号確認に“も”使えます」

ということで、「おまけとしてそんな風にも使えますよ」というようなものである。QRコードだって「おまけ」である。

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 マイナンバーカードの眼目はそんなところにあるのではない。狗の眼に注目してほしい。眼から鍵に向かって「JPKI」と読めるだろう。眼に「眼目」が描かれているのだから、こんなに分かりやすいことはない。マイナンバーカードの眼目はまさにこの狗の眼目が物語っている。それは、ICチップの中に入っている狗、即ち、公的個人認証(と空き領域)である。そして、この狗(マイキー)は兎の耳(ナンバー)とは関係がない。

 個人認証の中には基本4情報、即ち、住所、氏名、生年月日、性別は入っている。

 「だから、その個人情報を使われるのが嫌なんですよ」

と言うのかもしれないが、それならそれで兎批判とはまた別けて批判すべきことである。

 私はマイナンバーカード批判は大いにあってよいと思う。私たち日本国民の生活に大きく関わってくることなのだから、批判はあって当然である。しかし、今まで私が見聞きしてきたマイナンバーカード批判は、何れも、この兎と狗を混同した頓珍漢なものばかりだった。

 マイナンバーカードはオンラインにおける本人認証が主たる用途になってくる。

 「なんでカードを作ってしまってから使い道を考えてるの?官僚が住基カードの二の舞と批判されないためにあの手この手で普及策を無理やり考えてるとしか思えない。普及しなかったら、また壮大な税金の無駄遣いになって責任者である自分たちの首が飛んでしまうからね」

 そういう批判をよく目にする。しかしそうではない。今、マイナンバーカードと連携する実験が進んでいるものは、ほとんどがカードができる前から計画されていたものである。

 マイナンバーカードは、現代のネット社会を睨み、これから益々オンラインにおける本人認証が重要になってくることを想定して作られた、と私は思っている。ただ、その場にたまたま機械がなかったりして、本人が目の前にいてなおかつカードも持っているのに本人認証ができなかったら、なんか残念だから、対面でも、つまりオフラインでも認証ができるように、券面に顔写真や氏名や生年などの情報を載せたのである。

 つまり、オンライン用途が「主」であり券面は言わば「付属」、「おまけ」みたいなものである。ところが今、マイナンバーカードを批判している人たちは皆、この「おまけ」の方ばかり見て批判している。

 こんなにも的外れな批判が多いのは、おそらく名前のせいもあると思う。「マイナンバーカード」という名前だから、人々は「マイナンバーのカードだ」と思うのだろう。「JPKIカード」、「個人認証カード」などと名前を変えたらどうだろう。

 「嫌いだから近づかないようにしている」人もいるかもしれないが、出来上がってしまってから「ああ、やっぱり国が作るものはロクなもんじゃなかった」と言うのでは遅い。

 「マイナンバーカードって、もう出来上がってるんじゃないの?」

 そんなことはない。出来上がったのは外郭だけであって、「狗」の部分については今まさに「考え中」なのだ。だからこそ、文句があるなら今の内に言う必要がある。そのためには先ず兎と狗の別が解っていないと批判は始められない。


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