滑舌がある
「滑舌が良い」、「滑舌が悪い」とは言ふが、「滑舌がある」とは普通言はない。
この「滑舌」といふ言葉、今では日常的によく聞く言葉だが、どうやら昔からある言葉ではないらしい。
2002年発行の『明鏡国語辞典』には「滑舌」は載つてゐない。『広辞苑』も第五版までは収録されてゐない。第六版新収の言葉である。
その『広辞苑第六版』によれば、「滑舌」とは、
【滑舌】
(もと放送業界の用語)はっきり発音するための舌や口のなめらかな動き。
とある。
「滑舌」は業界用語だつたのか。
しかし、思ふに「カツゼツ」といふ言葉そのものが滑らかには言ひにくい。こんな言ひにくい言葉はたしかに昔からはなかつたであらう。放送業界の誰がこのやうな言葉を作つたのだらうか。
ためしに滑舌よく「カツゼツ」と十回言つてみてください。
『広辞苑第六版』には「滑舌」がある。新語の収録には慎重な『広辞苑』だが、このやうに、もうかなり世間一般に普及してゐる言葉は積極的に収録していいと思ふ。
世間に流通してゐる日本語の意味を明らかにすることは、国語辞典の一つの重要な使命でもある。
こちらから人気ブログ→ランキング
人気ブログランキングへ
一太郎の行く末
私も試験を受けてみたところ、次のやうな結果が出た。
【基本タイプ】
集団の和を重んじるあなたは、周囲の状況を冷静に計算しながら、角が立たないように口説くタイプです。信望も厚く協力上手ですが、優柔不断な印象を与えることもあるので、時にはノーを言う勇気も必要です。
【あなたの武器】
物腰柔らかい人柄があなたの持ち味。決して感情的にならず、客観的な判断力にもすぐれています。ただ、バカにはなりきれないため、どこかで不完全燃焼を感じてしまう一面も。日本語力は上々なので、問答無用の断言口調で勝負することが、あなたの信頼度をさらに高めてくれるはずです。
「角が立たないように」とか「物腰柔らかい」などは当たつてゐるかも。
今年のテストでは「口説き力」も判定してゐて、私の口説きタイプは、「定刻出発、引率達者なツアー添乗員型」と出た。そんなものかなあ。自分では引率達者かどうか、よくわからない。
ところで、このテストは「第3回」とあることからも判るやうに、過去に第2回や第1回も実施されてゐる。
今年の今回のテストはビジネスシーンに特化してゐたやうで、「部長が」とか「営業先で」とか「取引先から」などといふ設問パターンが多かつた。ビジネスマンではない私みたいな者にとつてはピンとこない場面設定の質問も多く、さういふ意味ではやや面白くなかつた。
それで、今回、全国一斉!日本語テストを受けてみて思つたことがある。いや、これは以前から常々感じてゐたことなので、今日こゝに書かう。
ジャストシステムと言へば、ワープロソフトの「一太郎」が有名だ。私は過去に「一太郎」を買つたこともある。日本語のワープロソフトとしては「Word」などより優秀だと思つたからだ。だが、最近の「一太郎」はまつたく買ふ気がしない。それは、最近の「一太郎」がビジネスシーンばかりに特化した機能を盛り込み、強化してゐるからだ。
読者諸氏もよくご存知のやうに、今の日本のビジネスシーンにおいては、ワープロソフトはマイクロソフト社の「Word」が席捲してゐる。「一太郎」はビジネス用途の機能を強化して、今さら「Word」の牙城を切り崩さうと考へてゐるのだらうか。これだけ普及してしまつた「Word」支配を本当に切り崩すことなどできるのだらうか。
私は、「一太郎」あるいは「ATOK」は、会社・企業などビジネスの場面において「Word」に勝負を挑むのはやめたはうがいいと思ふ。それより「一太郎」・「ATOK」には、もつとその才能を発揮させて活躍できる場があると思ふ。それは、アカデミックな場、学問の世界だ。これからは会社・企業に売り込むのはやめて、大学に売り込んでいつたらどうなんだらう。大学で論文を書くときなどにこそ、「ATOK」の高い日本語変換精度は重宝されるだらう。そして、ジャストシステムは「ATOK」・「一太郎」において、もつと論文向きの機能を強化していくべきである。
「一太郎」が幼かつた時から知つてゐるだけに、「一太郎」少年(青年?)の行く末が気にかゝるのだ。
こちらから他の人気ブログを見れます。→ランキング
人気ブログランキングへ
Tag : 一太郎
芥川賞・川上未映子の本当の凄さ
川上未映子のことは、去年、『わたくし率 イン 歯ー、または世界』が新聞で紹介されてたときから知つてゐたが、まさかこんな異端児が純文学の最高峰である芥川賞を受賞するとは思つてゐなかつた。
書店で『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』をちらつと立ち読みしてみたが、なんか同時代の匂ひを感じた。たしかに、「異端」ではあるが才能を感じさせる。
だが、その後、川上未映子のブログ(純粋悲性批判)を見て、私は彼女の本当の凄さを知つた。驚くべきは、そのURLだ。
www.mieko.jp
ブログツールはニフティのココログを使つてゐるらしいが、ドメインは"cocolog-nifty.com"ではない。
「みえこ」などといふ名前の人間は、おそらく日本全国に何千人か何万人とゐるだらう。それほどありふれた名前で、一体どうやつて"mieko.jp"などといふシンプルなドメインを取得できたのだらうか。
ちなみに、私も自分の名前で".jp"、".com"、".net"、".org"などについて調べてみたが、いづれも取得されてゐた。
川上未映子は、.jpドメインが開始された時にいち早くmieko.jpを取得したのか。それとも、誰かが先に取得してゐたものを買ひ取つたのか。私はドメインの仕組みなどについて詳しくないのでよくわからないが、とにかくこのシンプルさを実現した能力は凄い。ブログも有名な思想家、内田樹の"tatsuru.com"も驚いたが、"mieko.jp"はもつと凄い。ひよつとしたら文才以上の才能と言つてもいいのではないだらうか。
こちらから人気ブログをご覧いただけます。→ランキング
人気ブログランキングへ
Tag : 川上未映子
新潟県出れ
それで、今日、早速、このやうなニュースが新聞に出てゐた。
広辞苑:「在原行平」伝説の記述に誤り
広辞苑の「芦屋」の項に「在原行平(ありわらのゆきひら)の伝説の舞台」などと誤った記述のあることが分かった。岩波書店(東京都)は修正を検討する。
広辞苑は今月、10年ぶりに改訂され、第6版が出版された。この中で「芦屋」を「兵庫県南東部の市」「在原行平と松風・村雨の伝説などの舞台」とした。ところが、行平に愛された姉妹を描いた能「松風」の舞台は、須磨(神戸市)。芦屋にゆかりがあるとされる弟・業平(なりひら)と混同したとみられる。誤表記は1955年の初版からという。
毎日新聞 2008年1月21日 東京朝刊
http://http://mainichi.jp/select/wadai/archive/news/2008/01/21/20080121ddm041040025000c.html
しかし、私はこれよりも早い1月17日に、早速、新・広辞苑の中に誤りを見つけてしまつたのだ。
断つておくが、私は辞書マニアでもなければ、粗探しを趣味とする者でもない。ただ、誤字の方から目に飛び込んできたのだ。
今回の新版(第六版)では、【ジャイアント馬場】といふ項目が新たに収録されたとして、発売前から少し話題になつてゐた。それで早速、新版で【ジャイアント馬場】を引いてみたら、
プロレスラー。本名、馬場正平。新潟県出れ。(後略)
と書いてある。
新潟県出れ。
はい、新潟県を出て行きます。
私は一目、「新潟県生れ」の間違ひだと思つたが、すぐに、いや天下の広辞苑が間違つてゐるはずはない、と思ひ返した。それほど、私の中での広辞苑に対する信頼は厚かつた。もしかしたら、「出れ」と書いて「うまれ」と読むんじやなからうか…。
しかし、【長谷川町子】は「佐賀県生れ」と書いてあるし、【岡本太郎】は「東京生れ」と書いてある。あゝ、やはり、「出れ」は「生れ」の間違ひなのだ。
岩波書店辞典編集部さま、大変申し訳ありませんが、間違ひを見つけてしまひました。しかし、私の広辞苑に対する信頼の度合はつゆも変はりませぬ。広辞苑第六版、これから末永く愛用していきたいと思つてゐます。
人気ブログランキングへ
Tag : 広辞苑
| HOME |


