暫定龍吟録

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2015年01月の記事

【七福神】吉祥天はなぜメンバーから外されたのか

 正月なので、七福神ネタでも。

 七柱(七人)の神々で構成される、「七福神」という人気グループがある。

 地方によって人気の度合いは違うと思うが、東京では正月には「七福神巡り」なども行われていて、大勢の人が七福神がいる寺社を歩いて回っている。しかも、その人気はここ数年でさらに上昇しているようにも思われる。

 七福神はその名の通り、七人の神によって構成されているので、八百万の神々の中でもたったの七人しかメンバーに入れない。

 この「七福神」でセンターを務めることが多いのが、弁財天である。理由は、唯一の女の神だからだろう。七福神の並び順というのは特に決まっていないので誰が真ん中でもよくて、人気者の恵比寿や大黒天、恰幅のいい布袋が務めることもある。だが、弁財天はやはり紅一点ということで目立つ。

 弁財天は七福神の中でも比較的、古参メンバーである。大黒天、毘沙門天、弁財天の三人のインド神メンバーは、七福神にかなり古くから入っているメンバーである。

 だが、弁財天が加入する前に、吉祥天という女神がいた。

 吉祥天は初期メンバーの一人だったが、弁財天と交代する形で七福神を「脱退」。あるいは「卒業」という形で辞めさせられている。

 なぜ、吉祥天は七福神の紅一点の座を弁財天に奪われたのだろうか。

 吉祥天は類まれな美貌の持ち主だった。歌やダンスの才能は弁財天に敵わなかったかもしれないが、美貌だけなら負けなかった。七福神の紅一点のポジションに居るにはじゅうぶん過ぎる器量だった。それがどうして弁財天にその座を取られたのか。

 私はそこに一人の女神の存在があると考えている。

 その女神の名は「黒闇天」。


 あまり知られていないが、吉祥天には一人の妹がいる。その妹の名が黒闇天である。

 妹の黒闇天は、美人の姉とは対照的に容姿がとても醜かった。しかも姉の吉祥天が吉を齎す幸福の女神だったのに対し、黒闇天は禍を齎す「不幸の女神」だった。

 姉はモテた。モテまくってた。七福神メンバーの一人である毘沙門天とは深い関係にあったし、その毘沙門天の上司である帝釈天は「元カレ」である。モテモテの人気者だった。

 だが、奇妙なことに吉祥天はどこに行くにも妹の黒闇天と一緒だった。常に行動を伴にしていたのだ。

 男の神々は吉祥天に会いたがったが、黒闇天には会いたくなかった。禍が降りかかってくるからだ。

 吉祥天がどこに行くにも妹の黒闇天と一緒だった理由はわからない。あまりにも男に言い寄られるのが面倒くさくてそれを避けるために連れて歩いていたのか。

 それとも、「私を愛するように、この妹も愛せますか」と男の神々を試していたのかもしれない。

 吉祥天が七福神のメンバーから外された理由は、おそらくこの辺にあるのではないだろうか。美人の吉祥天の隣には常に暗い翳が付いていた。人々はその翳を嫌った。

 それでも、吉祥天は七福神のメンバーであることよりも妹と一緒にいることを選んだのだ。

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