暫定龍吟録

反便利、反インターネット的 This blog has not been updated since 2017

本は装訂も大事

 「本屋好き」と「本好き」は違ふ、とは昔からよく言はれてゐる。同様に「本好き」と「読書家」も違ふ。
 私は、本好きではあるが読書家ではない。もう少し正確に言ふと、紙の本が好きで、本を読んだことはほとんどない。紙の本の匂ひや手触りを好んでゐる。あるいはたゞ本を眺めてゐる。たまに本を買ふときは装訂の美しい本を選んで買ふ。見た目は大事だ。

 その本のデザインとしての装訂だが、単行本は一冊一冊デザインが違ふからそのデザイナーの腕次第といふことになるが、文庫本や新書本は、一つのシリーズとしてデザインに統一性を持たせることが多い。こゝ十年来の新書ブームで、いろんな出版社から「◯◯新書」なるものが登場したが、どの新書も大体、デザインに統一性を持たせてゐるが、このデザインセンスの良し悪しは、その新書シリーズ全般の売り上げにも多少影響するのではないだらうか。

 講談社現代新書の装訂のデザインがあまり好みではない。あのカラフルなデザインは確かに新書コーナーではひときは目を引くが、あの味気ない表紙では買ふ気がおこらない。光文社新書や集英社新書のやうな落ち着いた色合ひが好ましい。
 講談社は学術文庫のデザインもなんだかいまいちだ。講談社学術文庫は表紙のデザインは一冊一冊異なつてゐて、全体的にかなりレベルが高いと思ふが、背表紙が真つ青なのが解せない。せつかくの、内容もレベルの高い文庫シリーズの背表紙を、なぜあんなどぎつい色にしたのか。あの青は日焼けして色落ちすると、さらに残念な感じになる。文庫ならやはり岩波文庫の背表紙のやさしい色合ひが好きだ。

 最近、Amazon DTPの関係で、電子書籍がまた注目を浴びるやうになつてゐる。これからの時代は間違ひなく電子書籍が普及していくだらう。インターネット、ネット書店、電子決済、ライター、コンテンツ、そして端末。電子書籍が普及する条件が整つてきた。
 「読書家」の人たちは、たとへ読書形態がどのやうに変はらうとも読書を続けていくだらう。一方、私のやうな「本好き」たちは、電子書籍は購入しないだらう。装訂が楽しめない、手触りが楽しめない、匂ひが楽しめない、そんな本を購入する気にならない。
 電子書籍は「見た目」といふ付加価値をどのやうにして実現していくのだらうか。それともまつたく無視して切り捨ててしまふのだらうか。ちよつと気になる。

 『人は見た目が9割』といふ新書があつたが、本も見た目が大事だよ、と言ひたい。