暫定龍吟録

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マクドナルドはなぜメニュー表をなくしたか

 10月からマクドナルドがカウンターの上のメニュー表をなくした。

 このことについて「メニュー表をなくさないでほしい」など、さまざまな反応が出ている。

マクドナルドさん、メニュー表を無くさないでください - lessorの日記

マクドナルドがメニュー表を撤廃したのはなぜか考えてみた - 最終防衛ライン2


実際に行ってみた

 私は東京に住んでいるので近くにマックはたくさんあり、実際に2箇所のマックに行ってみたところ、確かにカウンターの上のメニュー表がなくなっていた。

 では、どうやって選ぶのかというと、

【本日から】レジの所のメニュー表がなくなります.入口においてあるメニュー表や,レジ上部にあるメニューをご覧になり,ご注文をお決めになってから,カウンターにお進み頂ければと思います.最初は戸惑う事もあるとは思いますが,どうぞご協力よろしくお願い致します

(マクドナルドの非公式Twitterより)

ということらしい。
 しかし、私が行った店舗では、「入口のメニュー」というのは見当たらなかった。
 レジの上部(店員の後ろの上の方)にはたしかにメニューがあり、ほとんどの人はここを見ながら選んでいた。どうやって選んだらいいのか分からず、かなり不便だと感じた。


なぜ、カウンター上のメニュー表をなくしたのか

 回転率を上げるためではないか、と憶測している人が多いようだが、私は客単価を上げるためだと思う。

 「カウンターに進んでから考えるのではなく前もって決めておけよ、ということじゃないの?」と思っている人も多いようだが、私はそうではないと思う。
 マックのカウンター上のメニュー表は以前から分かりづらかった。単品のハンバーガーやドリンクがどこに書いてあるのかも非常に分かりづらかった。
 もし、並んでいるあいだに、つまり自分の順番が来るまでに注文を決めておけ、と言うのであれば、レジ上部のところに全体のメニュー表を掲載しておくはずである。しかし、レジ上部のメニューというのは全体のメニュー表ではなくて、いくつかのセットメニューしか紹介されていない。料金もセット料金しか表示されていない。つまり、「完全なメニュー表」というのは今までもカウンターまで進まなければ見ることはできなかったのだ。

 なぜ、そうなっていたかと言うと、それは「前もって考えておけ」ということではなく、その逆に「前もって考えさせないため」だと思う。前もって考える余裕があると、客が冷静に安く済ませる算段をしてしまう。
 カウンターに進み出てからメニュー表に初めて目を通す。大抵の人なら、よほど鈍感な人でないかぎり、後ろに並んでいる人からの「早くしろよ」という無言のプレッシャーを感じる。メニュー表のどこをどう見ればいいのか迷っているうちに店員から「こちらのセットがお薦めです」と薦められる。「私は店員のお薦めには惑わされない」という人でも、あのメニュー表から単品やドリンクのSサイズなどを探し出すのは結構難しい。そして結局セットメニューを頼んでしまう。

 マックはその安さが魅力で行く人が多いだろうが、マック側からすれば安い品ばかり注文されたのでは経営は苦しくなる。なるべくセットメニューを頼んでもらいたいのだ。

 で、今回はその「完全なメニュー表」もなくして、本当にセットメニューだけが目に入るようにしたということだ。


「ハンバーガー」はどこへ?

 私は今回ためしに、一番シンプルな「ハンバーガー」(単品、100円)と「ホットティーSサイズ」(100円)を探してみたが、2店舗とも、レジ上部のメニューには見つけられなかった。もしかしたらもの凄く小さく書かれていたかもしれないが、私には見つけられなかった。
 「ハンバーガー」にいたってはセットメニューすら書かれていなかった。セットとして紹介されていたのは「ダブルチーズバーガー」とか「ビッグマック」とか期間限定のもの(今なら月見バーガーとか)など、いわゆるマックの中では“高級”なものばかりで、ただの「ハンバーガー」など“低級”なものはセットでも紹介されていない。

 なお、念には念を入れて、本当に「ハンバーガー」がどこにも書かれていないのか、隈なく探してみたところ、1店舗目では、入り口の窓に「100円マック」というポスター(全体のメニューではない)が貼ってあってそこで確認することができた。2店舗目では、店の横にまわると全体のメニュー表に近いものが貼ってあったが、正面から店に入った客はまず気付かないようなところにあった。

 マック側からすれば、私のように200円で飲食(飲み、食べ)を済ませてしまう客はいやな客だと思う。

 100円メニューはもちろん「釣り効果」のために用意してあるのだが、実際に来た客にはもっと高いものを頼んでほしい。

 この新しいシステムでは、普段マックに行き慣れていないような人なら、だいたいポテトなどのついたセットメニューを頼んでしまうだろう。そしてドリンクもMサイズを頼んでしまうだろう。「マックには割りとよく行く」という人でさえ、マックの完全メニュー表が頭に入っている人は少ないだろう。

 ということで、客単価を上げるという狙い目として、この新システムは効力を発揮するだろう。
 しかし、店頭での客とのやり取りとか、バイト店員の負担は重くなるだろう。


(※この記事は2012年10月2日時点のもので、今は記事内容の情報が大きく変わっている可能性があります)