暫定龍吟録

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滑舌がある

 「滑舌がある」とは、また妙なタイトルだと思つた読者諸氏もをられるかもしれない。
 「滑舌が良い」、「滑舌が悪い」とは言ふが、「滑舌がある」とは普通言はない。

 この「滑舌」といふ言葉、今では日常的によく聞く言葉だが、どうやら昔からある言葉ではないらしい。
 2002年発行の『明鏡国語辞典』には「滑舌」は載つてゐない。『広辞苑』も第五版までは収録されてゐない。第六版新収の言葉である。
 その『広辞苑第六版』によれば、「滑舌」とは、

【滑舌】
(もと放送業界の用語)はっきり発音するための舌や口のなめらかな動き。


とある。
 「滑舌」は業界用語だつたのか。
 しかし、思ふに「カツゼツ」といふ言葉そのものが滑らかには言ひにくい。こんな言ひにくい言葉はたしかに昔からはなかつたであらう。放送業界の誰がこのやうな言葉を作つたのだらうか。

 ためしに滑舌よく「カツゼツ」と十回言つてみてください。

 『広辞苑第六版』には「滑舌」がある。新語の収録には慎重な『広辞苑』だが、このやうに、もうかなり世間一般に普及してゐる言葉は積極的に収録していいと思ふ。
 世間に流通してゐる日本語の意味を明らかにすることは、国語辞典の一つの重要な使命でもある。



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