暫定龍吟録

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相撲界の旧習の善し悪し

 先月、大相撲のチケットが入つたので、観に行つた。

 大相撲は料金が高いから、私たち貧乏人は、さう簡単に観に行けない。

 私は、幼い頃に一度、蔵前国技館には行つたことがあるのだが、両国国技館には行つたことがなかつたので、初めての経験であつた。

 国技館の中に入ると、通路の両側にいろいろな「店」が出てゐて、この「店」でチケットを見せると、その店の人が桝席まで案内してくれ、さらには席に座つた後も、飲み物を持つてきてくれたり弁当を出してくれたり、いろいろと接待してくれる。

 で、感じたのは、かういふ接待は必要なのか、といふこと。
 例へば、同じ娯楽でも、映画館などでは、飲み物や食べ物は自分で買つてくるし、席も自分で好きな席に座つていい。だが、大相撲では、席も決まつてゐるし、席料も高い。おそらく、会社の「接待」といふ文化とも密接な関係があるのだらう。

 桝席は、文字通り「桝」のやうな四角い形をしてゐて、4人まで座ることができる。この「桝」をお得意さんが買ひとつてゐるので、たとへ、満員御礼にならなくても、日本相撲協会は毎場所、安定した金銭収入を見込めるやうになつてゐるのだと思ふ。

 この「お得意さん優遇」の文化がどうも苦手だ。観に行つたことがないからわからないけれども、たぶん歌舞伎のやうな他の伝統芸能にも、さういふ文化があるのだらう。
 私は今回、特別なチケットを持つてゐたので「店」の人に厚遇されたが、もしさういふ特別なチケットを持たずに観に行つたならば、冷遇とまでは言はないまでも、かなりの差別的な扱ひを受けてゐたのかもしれない。

 「ご贔屓筋」を大切にするのはたしかにそれなりに大事な意味を持つかもしれないが、もう少し「一見さん」にも優しくならないものか。
 京都には「一見さんお断り」などといふ店もあると聞くが、これはひどい話だ。誰でも最初は一見さんなのだから。

 昨今、相撲文化が低落傾向にある。人気も下降気味だ。映画館のやうに、全席自由席にして、面白ければ客が入る(収入が入る)、面白くなければ客が入らない(収入が入らない)、といふやうにすれば、これは実力制度なので、相撲協会もあるいは力士たちももつと本腰を入れた対策を考へるのではないだらうか。

 お得意さんたちに庇護されてゐる現状は、たしかに相撲といふ日本の大切な伝統文化を潰さないためには一面では大事なことであるけれども、文化の真の興隆といふ面ではマイナスに作用してゐる面もあると感じた次第だ。