暫定龍吟録

反便利、反インターネット的 This blog has not been updated since 2017

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本の世界とブログの世界の埋もれた宝

 今日の「クローズアップ現代」といふテレビ番組で、本の世界における出版不況とランキング依存の問題を取り上げてゐた。

 出版の世界では出版不況が続いてをり、1990年代の後半から本の売り上げは右肩下がりに減り続けてゐる。一方で、本の出版点数は右肩上がりに増え続けてゐる。
 毎日、たくさんの本が書かれ生まれてゐるのに、売れるのはごく一部の本だけ。では、どんな本が売れるのかといふと、それはランキングに依存してゐるのだといふ。
 本の売り上げランキング、つまり、ベストセラーランキングといふものがある。消費者もランキングを頼りに本を買ひ、本屋の方でもランキング上位の本ばかり並べる傾向があるのだといふ。

 ランキング上位に入らない本は、店頭に並べてすらもらへない。よつてますます人の目につかないから誰にも買はれない。かうして、どんどん良質の本が日の目をみることなく埋もれてゆく。

 ちよつと待つて。この話、何かに似てないか。
 さう、ウェブの世界の話にそつくりなのだ。

 Yahoo!のやうな巨大ポータルサイトや一部の有名なサイトが厖大なトラフィックを集める一方で、圧倒的多数のサイトは訪れる人もほとんどゐない。
 ブログの世界に限つて見てみてもさうだ。アルファブロガーが書いてるやうな一部の有名ブログが大量のアクセスを集めてる一方で、圧倒的大多数のブログは一日に50アクセスもない。
 毎年、世界で大量のブログが誕生してゐる。日本語のブログは世界で一番多いといふ調査もある。しかし、そのほとんどのブログは限りなく0(ゼロ)アクセスに近いブログなのだ。そしてその裏で、ごく一部の人気ブログや有名ブログがますます大量のアクセスを集めてゐる。

 ブログランキングといふものがあるが、これもランキング上位のブログにますます人が集まることに貢献してゐる。

 ソーシャルブックマークといふ仕組みもあつて、このサービスが登場した当初は、これは隠れた良質サイトや良質ブログを発掘するのに役立つだらうといふ期待感があつた。しかし、はてなブックマークなどの有名SBMの人気エントリーなど見てみると、“いつもの”ブログが並んでゐることに気付く。
 さうした“いつもの”ブログは、良質のブログには違ひないのだが、すでに有名ブログである。結局、皆が同じブログを見に行つてる。そのやうな有名ブログをブラウザの「お気に入り」に登録するなり、RSSなりによつて、毎回チェックしてゐるだけだ。SBMの人気エントリーは、さうした特定のブログからしか出てきにくい。

 「良質なブログは人が放つておかないから、自然と人がたくさん集まつてくるやうになるはずだ」と言ふ人がゐる。
 私は、それは嘘だと思ふ。
 どんなに良質の記事を書いてゐても、そのブログがどこからもリンクされてゐなければ、その記事が誰かの目に触れることはないし、誰も読まなければ、その記事が良質の記事であることなど誰にもわからない。良い本かどうかは、少なくとも一度は誰かが手にとつて目を通してみないとわからないのと同じである。

 だから、世の中にはたくさんの良質な本や良質なブログが誰にも気付かれることなく埋もれてゐるのだと思ふ。
 かうした隠れた宝をどのやうにして発掘するのか。その仕組みを考へていかないかぎり、本の世界にしろブログの世界にしろ、本当の意味での豊かな文化は育たないのだといふ気がする。