暫定龍吟録

反便利、反インターネット的 This blog has not been updated since 2017

ミズノとスピードの知られざる皮肉な関係

 6月9日の記事でスピード社の水着のことについて書いた。

 日本の競泳選手が国内のメーカーの水着を着なければいけないのか、英国スピード社の水着を着てもよいのか、その判断が注目されてゐたが、一昨日6月10日に、日本水泳連盟が、日本の選手は自由に水着を選んでよい、といふ決定を出した。

 こゝまでの経緯は、皆さん、新聞やニュースなどでご存知だと思ふ。
 だが、この話にはちよつと皮肉な続きの話があるのだ。

 ミズノは、国内大手水着メーカーとして、今まで選手たちを金銭面を含めあらゆる形で援助してきたわけだが、今回の件で、突然、五輪で自社の水着を着てもらへなくなる可能性が出てきた。今回のスピード社の件では、一番打撃を受けた会社だらう。

 ところが、このミズノ、実は、スピード社とは1965年から長年にわたり、日本における「SPEEDO」ブランドの製造・販売のライセンス契約を結んでゐたのだ。
 ずーつと、長年契約を結んでゐたのに、2006年にミズノが創業100周年を迎へたのを機に「自社ブランドによる世界戦略を強化する」といふ方針に切り替へ、2007年5月末をもつて契約を終了したのだつた。
 そしたら、40年以上もの長い契約期間が終はつた途端に、スピード社が新水着を開発、世界記録を連発、といふ今回の事態となつてしまつた。

 さらに、新たにスピード社と契約を結び「SPEEDO」ブランドの日本窓口となつてゐるゴールドウイン社の株が最近、上がつてゐるといふ話まである。

 なんたる皮肉。ミズノの社員は、このあまりに皮肉な話に皆、臍を噛む気持ちなのではなからうか。
 つまり、ミズノは、今までさんざん敵のブランド戦略を手助けしてきた上に、今回のやうにそのブランドが俄然、世界中の注目を浴びるやうになつたら、今度はそのブランド名を名乗ることさへできないのだ。それどころか、今まで営々と育ててきた「SPEEDO」ブランドは、北京五輪といふ晴れの舞台において、「ミズノ」ブランドの前に強力なライバルとして立ちふさがることになつてしまつた。
 まさに「飼ひ犬に手を噛まれる」気持ちだらうか。

 結果が大きくモノを言ふ世界だからしかたないのかもしれないが、皮肉と言へば皮肉な話である。