暫定龍吟録

反便利、反インターネット的 This blog has not been updated since 2017

韓国のブラウザ事情から考える独占の怖さ

 先日、「中国人、韓国人はFirefoxがお嫌い?」といふ記事を書いた。インターネット大国のイメージがある中国、韓国におけるFirefox 3のダウンロード数があまりにも少ないことに驚いたからだつた。

 その記事で、中国ではもしかしたら皆、中国産のブラウザを使つてゐるのかもしれない、といふ推測を立てたが、韓国は、韓国産のブラウザといふのも聞いたことがないし、韓国人は皆一体、何のブラウザを使つてゐるんだらう、といふ疑問を残したまゝだつた。

 特に韓国は、Firefox 3のダウンロード数が日本の10分の1程度と極端に少なく、その点も大いに疑問だつた。

 ところが、今日、それらの疑問に対する一つの答へを見つけた。

 日経BP社の「PC Online」といふサイトがあり、その中に趙章恩さんといふ人が書いてる「Korea on the Web」といふコラムがある。その7月24日付の記事がずばり「韓国ではFirefox 3が使い物にならない理由」だつた。

 それによれば、韓国のブラウザ事情は、Internet Explorerが99%を占めるのださうだ。つまり、韓国人のほとんど全員がIEを使つてゐると。なぜこんなにIEのシェア率が高いのか?
 それは、韓国の電子政府や行政サイトなどほとんどのサイトがIEに適して作られてゐるから。そしてもう一つの理由は、韓国の多くのサイトがマイクロソフトの技術であるActiveXを多用して作られてきたから。だから、韓国の多くのサイトは未だにIEでしか表示できず、Firefoxなど他のブラウザでは表示できないのらしい。
 著者は、韓国のインターネットが今まであまりにもマイクロソフトに依存しすぎてきたことを「恥ずかしいことだ」と言つてゐる。

 なるほど。これで韓国でFirefoxが使はれてゐない理由がなんとなくわかつた。韓国人のITジャーナリストが言つてるのだから、かなり確かなのだらう。海外のIT事情に疎い(国内も疎い)私にとつては、かういふ明快な説明はありがたい。

 IEの独占と言へば、その昔、IEがNetscapeを駆逐していつた歴史を思ひ出すが、インターネット先進国であるはずの韓国は、結局そのマイクロソフト環境にどつぷりと浸かり続けてきて、脱出に失敗したわけだ。
 日本も決して多様なブラウザが活躍できてゐる、とは言ひ難い状況だ。Firefox 3で表示できないサイトもまだある。だが、韓国に比べれば、日本の環境はまだマシなのかもしれない。

 ブラウザはネットの入り口にすぎない。ブラウザは所詮、パソコンの付属物だ。そのパソコンの世界はマイクロソフトが独占してきた。そして、ネットの世界はグーグルに独占されつゝある。両者の違ひは、マイクロソフトが“嫌はれ者”であるのに対し、グーグルは“人気者”であるといふことだ。

 でも、嫌はれ者であれ人気者であれ、一国全体が独占企業に依存していくのは怖いことだ。日本のパソコンが“脱マイクロソフト化”をがんばつてきたやうに、日本のインターネットも、“脱グーグル化”の対策を今一歩進めていかなければこの先、怖ろしいことになつていくのではないだらうか。